法人化するメリット・デメリット

法人化するメリット・デメリット

メリット・デメリット

個人事業主の方であれば、一度は法人化について考えられたことがあるのではないでしょうか。

法人化することで、社会的信用が生まれ、資金調達も行いやすくなります。また、税金の節約にもつながる可能性も出てきます。

法人化した際の、メリット・デメリットについてご紹介いたします。

法人化するメリット

メリット

  1. いくら利益が多くなっても法人税の税率は一定
  2. 新規法人は最初の2年間は消費税を納税しなくてよい
  3. 給与所得控除がうけられる
  4. 利益を給与に充てて法人税、所得税を安くできる
  5. 社会的信用度が上がる
  6. 事業承継できる

メリットを詳しく見ていきましょう。

1.いくら利益が多くなっても法人税の税率は一定

個人事業主の場合は、利益が多くなれば、多くなるほど税率が高くなる累進税率で課税されます。
しかし、法人税の場合は、利益の大小にかかわらず、基本的には税率は一定です。

・個人事業主の所得税率は、5%(195万円以下)~45%(4,000万円超)となっており、所得に比例して税率も上がります。

・法人税の税率は、中小法人の場合15%(年800万円以下の部分)ないし、19%(年800万円超の部分)と税率は一定です。

事業で利益が多い場合、個人事業主として所得税を納税するよりも、法人化して法人税を納めた方が税率が低いため、税金が安く済む可能性があります。しかし、法人の場合は利益が少ない年も同じ税率が課されてしまうため、注意が必要です。

2.新規法人は最初の2年間は消費税を納税しなくてよい

新規法人の場合、資本金が1,000万円未満であれば、最初の2年間は消費税の納税義務が免除されます。
消費税の納付可否は、2年前の売上高が基準となります。ですので、法人化した年と翌年は、その2年前は事業がない状態のため、消費税が免税となります。

3.給与所得控除がうけられる

会社から社長の給与を出すことで、売上から必要経費として差し引くことができます。さらに、その給料からも給与所得控除を差し引くことができ、課税される所得を小さくすることが可能です。

4.利益を給与に充てて法人税、所得税を安くできる

利益を従業員の給与にあてれば、それをそのまま法人の損金に算入することができます。事業に従事している家族に給与として支払うことが可能です。これにより、所得分散をして経営者の所得税や住民税を節税することが可能です。

5.社会的信用度が上がる

一般的に法人の方が信用度が高く、取引先を法人に限っている企業もあります。法人化することで信用につながり、取引先の幅が広がります。

また、金融機関からの借入を行う際にも個人事業主では事業目的の融資は受けにくく、借入できても保証人を求められるケースが多いのが現実です。
法人化することで信用力が上がり、金融機関からの融資など、資金調達がしやすくなります。融資以外での資金調達の可能性も広くなります。

6.事業承継できる

個人事業を後継者に引き継ごうとすると、現経営者が廃業し後継者が開業する必要があり、認可なども取り直す必要がでてきます。(移転手続きが複雑)
しかし、法人であれば、そのまま事業を継続でき認可などもそのまま使うことができ、後継者への引き継ぎがスムーズに行えます。

法人化するデメリット

デメリット

  1. 赤字でも地方税を納税しなければならない
  2. 交際費の損金算入が制限されている
  3. 事務的な負担が増える

1.赤字でも地方税を納税しなければならない

個人事業主の場合、赤字ならば所得税も住民税の負担はありません。
しかし、法人に課される法人住民税は、赤字であっても支払い義務があります。(小規模法人の場合で7万円ほどが目安です)

2.交際費の損金算入が制限されている

個人事業主の場合は、事業に関連して支払った交際費は全て必要経費として落とせます。

しかし、法人の場合は、業務に関連して支払ったとしても、損金に算入される範囲が限られています。交際費のうちの飲食代に限って、50%の費用を損金にできると限定されています。(資本金1億円以下の企業は年間800万円までは全額損金に算入が可能です)

3.事務的な負担が増える

法人化すると会計処理が複雑になるため、自分でやるのはかなり困難になり、税理士に委託することになります。委託することで、コストが発生するためデメリットになります。
また、社会保険などの手続きなど事務作業も増えるため、新たにスタッフが必要になるかもしれません。

まとめ

個人事業主と法人では税制度が異なります。主なメリットは、所得税や利益を給与に充て法人税を安くできることです。
しかし、法人化が節税対策になるかどうかは、事業の内容や規模などにも左右されますので、一概にいえませんので、それぞれのメリット・デメリットを理解し、適切な選択する必要があります。 

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